コクトーは詩人でありながら、小説家、画家、劇作家、映画監督などさまざまな顔をもっていた多彩な人です。
パリに住んでいましたが、海が好きだった彼は夏の間コート・ダジュールに数か月滞在することも何度かありました。
その間に行われた多くの創作は、今も地元で数多く見ることができます。
まずは、ニースの隣町ヴィルフランシュ・シュル・メールにあるサン・ピエール礼拝堂。
コクトーが壁画を描き修復した、漁師のためのチャペル。
この教会のすぐ後ろは海です。中に入ると、たまたまですがそこにいた数人全員が日本人で驚きました(ヴィルフランシュでは、ここでしか日本人には出会いませんでした)。
中は撮影禁止でしたが、こじんまりとした礼拝堂の壁いっぱいにコクトーが描いた素朴な絵は、確かに日本人好みかなとも思いました。
それから、イタリアとの国境近くの街、マントンにはコクトーゆかりの場所が3か所あります。
まず街中にある市庁舎では、コクトーが当時の市長に依頼されて壁画を描いた「結婚の間」があります。
これを見に行ったのですが、
本当に結婚式をしていたため、見ることができませんでした。。
おめでたいと見れなくて残念の複雑な気持ちでしたが、「おめでとうございます」と挨拶して、
またいつかの機会にと去りました…
気を取り直して、コート・ダジュール1番の(コクトーゆかりの地の)目玉、2つの美術館を訪れました。
ジャン・コクトー美術館
2011年にオープンした美術館で、波打ち際をイメージしたような涼しげな建物です(世界的な建築家による設計)。
こんな絵から…
こんな絵までいろいろ。
これは「アルルカン」という作品ですが、梯子をイメージした「建築的な」絵で、ピカソと似た芸術観で描かれています。かわいいです。
美術館には見学ツアーや映像資料などもあり、とても充実していました。
続いて、コクトー自身が開館を希望した古い方の建物、「要塞美術館」。
海辺に建っています。
外壁のモザイク画にはすべて浜辺の小石が使われています。
小さな館内。
若い頃のコクトーにも強い印象を与えた、19世紀フランスの大女優サラ・ベルナールの企画展示もありました。
ショーケースの下の床も作品。
(サンショウウオのような人のような…)
要塞美術館の横にある、たくさんの花に囲まれたコクトーの彫像。
「私はあなたたちと共にいる」という彼の言葉とともに彫られたコクトー、なぜか目をそらしているのが少し笑えました。
大学で研究したジャン・コクトーのたくさんの作品を間近に見ることができて、さらにこの旅は思い出深いものになりました。もらった休暇をしっかり役立てられたかな、と満足しながら仕事へ戻りました…!
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